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2009年 10月 17日
フランスの医師にして哲学者、ジュリアン・オフレ・ド・ラ・メトリーの名言。
唯物論者として有名なひとです。代表作は「人間機械論」で、この名言もそこから引いています。元々は神学の道を志していたのが、ふとしたことで医者になり、戦争に軍医として関わる中で無数の傷病兵を看取ってゆくうちに、哲学に目覚めて・・・このころの哲学ってのは神学のほとんど反概念に近かったせいもあり、排斥されつつも思索を深め、ついに自らの唯物論を完成させた、そんなひとらしいです。 名言・・・というか、人間という存在をどうやって認識して捉えるか、そのひとつの例を示しているようなもの、と読むのが良いと思います。永久運動に例えているのが、また面白いところですね。通常の運動が放っておくと止まってしまう理由は、その運動を起こすために加えられたエネルギーが、運動に伴って減衰して、他の物体や周囲の環境に奪われてゆき、最終的にはゼロになってしまうから、です。これを継続して動かそうとするならば、まずは外側からエネルギーを加え続ける、というのが一案になりますが、もうひとつ方法があります。 それがこの名言で言うところの、自らゼンマイを巻く、ということです。自分で自分のためのエネルギーを生み出せるのであれば、外側からそれを得る必要もありません。人間ってのはまさにその代表例であって、通常は外部から得るしか増やす方法の無い運動エネルギーを、自分の中で生成して、通常の物体が同じだけのエネルギーを受けたときよりも、ずっと長く、ずっと強く、動き続けることができるわけです。 エネルギーが平準化して平衡状態になってしまうことを、エントロピーの増加、と表現しますが、人間の運動はこれに反することなので、反エントロピー的である、とか、ネゲントロピー現象、とか呼ばれることもあります。この名言の話し手であるところのラ・メトリーさんは、今から300年近くも前に、この現象の特異性、自然界の通常法則から掛け離れた異常性について、気付いていたのかも知れません。ちょっと、すごいことだなぁと思うのです。
by feeling_stone
| 2009-10-17 23:01
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